[11] 人間便器。 2020/04/25 18:48:11 

とあるホテルの一室。指定されたその部屋の扉を開けるとそこにはひとつの便器があったわ。

【ひとりの人間がいた】のではなく【ひとつの便器があった】

入室した瞬間、瞬時に思った。
会話はいらない。

私はただ無心で用を済ませる。

途中、便器が少しだけ動いた気がしたのだけど気のせいかしらね。だって便器は動いたりしないもの。

「この人は本当に便器になりたいのだ。徹したいのだ」そう思ったら愛しさすら込み上げてきたけれど、便器に対してそんな気持ちを抱くのは不自然ね。

1時間、2時間、いやそれ以上の時間でもいい。
私がその部屋で日記を書いたりコーヒーを飲んだり煙草を吸ったりする。そして尿意を催したらその便器を使う。もちろん会話はない。
私以外のもう1人がこの部屋にはいるはずなのにいない。そんな空想が現実になる。そんな日を夢見て。

秀逸すぎるおまえの姿を収めた写真は私だけのもの。

しばらくは尿意を催すたびにおまえのことを思い出すことになるのかしら。それも悪くないわね。

  この記事は このアドレス で表示できます。




[ TOP ] [ HOME ]
CoolNote2 Ver 3.3